2018年12月に読んだ本

12月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2665
ナイス数:59

なんと、ビジネス書なし。やばいーーー。

幻夏 (単行本)幻夏 (単行本)感想
夏の日の思い出、たった数日の間の出来事。警察、検察、司法の歪んだ矜持のために歪められた人生。とある誘拐事件に隠された裏側。悲痛な思いも権力者の思惑の前には砂上の楼閣。ゆえの復讐。緻密に組み上げられたが、その母親と少年の頃の親友に狂わされていく。悲しい、遣る瀬無い思い。しかし、その復讐のために犠牲になる人たちがいることは許されない。相馬の矜持と、鑓水たちの機転で事件は解決に。しかして、人の人生を狂わせながら安穏としている奴らに一矢報いるさまは良いのかも。
読了日:12月24日 著者:太田 愛
犯罪者 下 (角川文庫)犯罪者 下 (角川文庫)感想
通り魔事件の被害者の共通点。メルトフェイス症候群の証拠を不法投棄した際の目撃者に仕立て上げられたことだった。そう巻き込んででもタイタスフーズの悪行を明らかにしようとした真崎も殺された。その遺志を継ぐことを決めた鑓水たち。打つ手なしに思えたが、鑓水がテレビを巻き込むことで、殺し屋の口から証拠を引き出す。綱渡りのようなトリックは相馬が殺し屋を撃つことでなんとか成立し、真崎の遺志をなんとか果たす。ヒリヒリするほどの緊張感が織りなすミステリーは流石にテレビの脚本家なんだなと思わせます。
読了日:12月19日 著者:太田 愛
犯罪者 上 (角川文庫)犯罪者 上 (角川文庫)感想
メルトフェイス症候群。リアルにあったらかなり凄絶な病気。それを取り巻くいくつもの事件。始まりは凄惨な通り魔事件。無差別かと思われる事件は次第に必然性に結びつきそうになる。現れる殺し屋、不敵な政治家とその秘書。無関係と思われる事柄が結びつく伏線の張り巡らしは流石。元テレビマンの鑓水、通り魔事件の被害者の修司、一刑事の相馬。3人の交わりと作戦会議をやっている様がなんだかワクワクします。
読了日:12月17日 著者:太田 愛
天上の葦 下天上の葦 下感想
瀬戸内の島で、渋谷の交差点で絶命した老人の縁者を探しつつ、失踪した公安刑事の行方も探す。その一方で監禁されている男の描写。もしやと思いながら予想は裏切られます。過去な戦争で大本営の犯した罪、それを繰り返そうとする権力者。その手先の公安とのギリギリの駆け引き。島の老人たちの戦いにも胸熱くします。ラストの元テレビマンの鑓水の仕掛けるトリックがありえないほどギリギリでハラハラします。最後まで鑓水、修司、相馬のキャラがたっており、無駄口の掛け合いも楽しめます。
読了日:12月17日 著者:太田 愛
天上の葦 上天上の葦 上感想
渋谷のスクランブル交差点で天空を指差して絶命した老人。SFのような出だしに興味を引きます。主人公の探偵とその助手、友人の刑事。3人のキャラが見事に立っています。話は弱みを握られた探偵がくだんの老人が何を指差したかの調査を受け、刑事は公安の密命をを受け行方不明の公安刑事を探します。二つの筋書きは交差し、核心は太平洋戦争末期まで遡ります。公安の密命の裏に気づいたばかりに、あらぬ罪で手配をかけられた三人。痛快な逃亡劇は瀬戸内の小島まで。場面転換と情景が織りなす雰囲気は独特の没入感に浸りつつ、下巻に続く。
読了日:12月15日 著者:太田 愛
ルージュ: 硝子の太陽 (光文社文庫)ルージュ: 硝子の太陽 (光文社文庫)感想
姫川シリーズ。犯人の記憶から始まる冒頭。今の事件との関わりは?そう思わせる展開です。しかして、輻輳する事件と過去の事件が交わる様までの展開がなかなかいいですな。輻輳する事件はあまり触れられないので、他のシリーズへのアプローチなのか。最後の犯人を特定する場面は、地道な捜査の賜物とも言えますが、結末はなかなかにシビアなもの。他シリーズへの引っ張り方が狙いすぎてて鼻につきますが、ドラマ性と言う意味ではなかなかな作品です。
読了日:12月02日 著者:誉田 哲也

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