【血の轍】相場英雄

好きな作家さんです。
以前の震える牛が最高に良かった。

【血の轍】

相場英雄
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妻の不倫現場を凝視させられながら、公安捜査員として鍛えられる男。公安部の差し金によって最愛の娘を失った恨みを胸に、刑事部に生きる男。二人は所轄時代の盟友だった。「元警官殺し事件」。警視庁上層部をも巻き込む大事件を巡り、二人は再び相まみえる―。

血の轍。
轍は両の車輪。
決して交わることがない。そういう意味なのでしょうか。

そして、それは血によってもたらされる。
生まれながらにして相容れない者たち
とでもいうかのようなタイトル。

しかして、それは警察機構内での相容れない刑事と公安
という図式にあてはまるわけです。

警察の組織内の権謀術策を大胆に描くというのは、
なかなか新鮮な切り口に思います。
以前読んだナンバー捜査二課という普段見慣れない部署を取り上げた話でした。

警察OBが殺害されるという事件を契機に、
この二つの組織がやりあうわけです。

その中心が二人の主人公と言ってもいい、若き熱血刑事と冷酷優秀な公安刑事。
実は警視庁入庁当初は、仲のいい先輩後輩。
しかし、ある事件が二人の間を遠ざけ、別の事件が決定的に引き裂く。
そんな二人がこの事件で邂逅する。
いずれ巨大な事件に発展するこの事件を軸に、交わることのない轍が。

以前に読んだ外事警察にも通じる公安の独特の世界。
ジェットコースターのような展開の速さ、テンポの良さ。

最後のラストの終わり方が、不条理にも思えるのですが、
面白かったです。ぜひ、後日談の続編(がもし出たら)を読みたい。