【八日目の蝉】角田光代

興味はないんだけど、本屋に行くたびに目に付く本。

ありませんか?

ただ平積みされているからなのかもしれません。
でも、毎回手に取るけど、こりゃ面白くないだろ?
そう思って積んだ本の山に返す。

そんな繰り返しを経て、ついぞ買ってしまいました。

買った決め手は冒頭の書き出し。
「ドアノブをつかむ。氷を握ったように冷たい。
 その冷たさが、もう後戻りできないと告げているみたいに思えた。」

作家が用いる回りくどい表現や比喩には辟易しているのですが、
この書き出しにゾクっときました。

【八日目の蝉】

不倫相手の赤子を誘拐して逃避行を続けながら育ててしまう女。
誘拐犯に育てられ、複雑な心境と境遇で育つ女。
そんな二人の物語です。

悲しい女たちの、愚かで情けない男たちの、
そんな思惑が交錯します。

そして逃避行の最終地、小豆島
悲しい女たちの救いでもあるかのような
大自然の情景

素直に面白かったです。


そして、映画も気になってしまい、見に行きました。


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主演は井上真央永作博美

原作とは違った切り口です。
時間軸が交錯しており、であるがゆえに、娘(井上真央)の視点から
多くの物事が描かれている気がします。

もちろん、かなり端折られているので、原作を知らないと分かるかな?
という箇所も多々あるのです。変わっている部分も。

原作では描かれていない「その後」が描かれています。
原作を読んだ人なら誰もが気になる「その後」も含まれているので、
結構嬉しかったりします。

そして、小説では描ききれない大自然の情景が、風景として
映画で流れています。この辺が映像の強みですな。

それにしても永作さん(誘拐犯)が、逮捕の前日に写真館で、
娘を抱き寄せて写真を撮るときの演技。
泣きながら微笑む演技にゾクっとしました。凄い演技です。



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