『町長選挙』

つい先日購入して、珍しく早めに読みきった。奥田英朗町長選挙。作品は短編集だが一連の話は3作目。
精神科医伊良部一郎を主人公としたカウンセリングの物語だ。伊良部は丸々太ってマザコンで医師会会長の息子ですねかじりな脳神経外科医。ぶっきらぼうだけど美人でセクシーな看護婦マユミ。いい加減な診療でブドウ糖注射だけで物事を済まそうとする。根っからの好奇心旺盛な丸で子供のように患者のプライバシーにかかわり、いつのまにか患者の悩みを解決してしまう。
イメージ 1 ①暗所恐怖症の球団オーナー(「オーナー」)
 ②平仮名を思い出せない若きIT長者(「アンポンマン」)
 ③太ることを異様に恐れる女優(「カリスマ稼業」)
 ④離島のゆがんだ収賄選挙に苦悩する若者の(「町長選挙」)
 の4つの話からなる。
 
 ①②③はどこぞの昨年世間をにぎわした有名人のパロディだ。ナベツネホリエモン黒木香。ここまであざとく書くのもちょっと読者受けしようという小ざかしさ感じるが、これはこれで面白い。
 最後の町長選挙が一番練られているような感じを受けた。離島に派遣された都の職員が、島を二分する町長選挙に巻き込まれて、収賄合戦のいい餌食となって行く。そこに離島派遣された伊良部と出会い精神的に病んでいた職員は伊良部を頼るが・・・。

 1,2作目も面白かった。3作目も面白い。サクっと読み切れてしまう。