『もの食う人びと』 辺見庸 ・・・いまでも思い出す一冊

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もう10年くらい前の本になるのか。
いまでは本棚の奥で黄ばんできている。


『もの食う人びと』  辺見庸



たまたまYJに漫画化されていたのを読んで、原作を読んでみようと思った。


筆者が世界各地に出向き、そこの常食を食すと言うのがその内容である。

ただ、ここで言う「常食」とは土地の名物と言うわけではない。
バグラディッシュのスラム街であれば貧民が食べている残飯。
ドイツの刑務所であれば受刑者と並んで囚人食。

普通の旅行では味わえない、味わいたくないものを現地の人々と食している。


そして食を、そしてモノを食うことを、その行為を共有することで現地の人々の心情を紐解こうとしている。もちろん心情のみならず世界の情勢にも言及している。

話は各土地ごとの短編が集まったものなので、小出しで読みやすい。


記憶に残るのはこれらの章だったあ。

菩提樹の香る村・・・クロアチア

兵士はなぜ死んだのか・・・ロシア

美しき風の島にて・・・択捉島

あの日の記憶を殺しに・・・韓国


時間を作って読み返したい。
そうだな。電車で揺られながら小休止を入れつつ読むといいかもしれない。